続報:HackRF One PortapackでFMが聞けない理由が判りました。
どうやら原因の候補は3つあるようです。
前の記事を書いた後もネットを調べていると今回、僕のHackRF One Portapackに起きたことが判ってきました。
FMが聞けない原因は3つあるようです。
それは、
1)LNA(Low Noise Amplifier)が破損してしまった。
2)HackRF One cloneが低価格の部品を使ったために正規品より感度が悪い。
3)そもそもHackRF Oneの受信感度が低い。
これらのどれかが今回の件の原因のようです。
それではひとつずつ見ていきたいと思います。
まずはLNA(Low Noise Amplifier)が破損してしまった。
その記事がコレ。
この記事の中に気になる記載がありました。
The HackRF one design is known to be faulty. See the attached issue thread on github, which I raised more than three years ago. I designed and sold an improved SDR that fixes the flaws outlined in this Github issue: https://github.com/greatscottgadgets/hackrf/issues/541
HackRF Oneの設計に欠陥があることは知られており、その欠陥とは定格以下の入力信号レベルにおいてもLNAが破損する可能性があるということのようです。
問題となっているLNAは下の図のRXラインの第一段目のLNAです。
HackRF OneではRXラインの最初のアンプとTXラインの最後のアンプには同じ型式のアンプ(MGA-81563)を使い、かつゲインも同じ14dBにしています。
このアンプが壊れるようです。
問題は、メーカがこのアンプの生産をやめたようで交換ができないということです。
ちなみに記事の中には当該部品の交換の様子が号が出ていますが二次災害が起きそうなので僕はやめておきます。
世の中には猛者がいるものです。
原因がこれである可能性は、昨日の記事に載せた下の図にある測定結果からは低いと思います。
というのもMHz帯はNGですがGHz帯はOKなのでLNAが壊れた可能性は低いとは思います。
部品が壊れるときは電流による破壊と電圧による破壊の2つがあります。
電圧で破壊された場合には部品が吹っ飛んでいますし、電流で破壊された場合には燃えたり変色します。
LNAの場合は電流による破壊と思いますので破壊した時には上の動画にあるように変色した部分が見られるはずで目視で判ると思います。
ということで念のために分解して確認してみることにしました。
下の写真のSMAコネクタ周辺が該当部分ですが、部品が吹っ飛んだり燃えたり変色している姿は確認できませんでした。
問題なしです。
結論から言いますとLNAは破損していないと思われます。
Cloneは安物のLNAを使っていて正規品のLNAと違う?
正規品がLNAとして使っていたアンプはMGA-81563です。
でも、Cloneにおいては価格を抑えるために別の部品に切り替えたり、正規品で使っているMGA-81563に上記のような問題があることから別の部品に切り替えている可能性があります。
下の記事にそれらしい記載もあります。
github.comということで分解した際にCloneで使用しているLNAのアンプがなにかを併せて調べました。
上の写真では見にくいですが、LNAの部品表面に815という表記がありました。
ネットに出ていた下の写真の黄色の矢印で示されている部品にも815とありましたので同じものだと確認できます。
ちなみにこの部品が回路の上のどこかというと下の回路図のRX LNAのMGA-81563になり、その型式の一部である815が記載されていると思われます。
最近の部品は表面実装でサイズが小さく型式確認もままならず部品が正規品と同じであるという断定はできませんが少なくともCloneである限り回路は同じなので部品の特性バラツキの範囲の問題はあるが極端な違いは起きにくいと思います。
結論から言いますと部品の違いによる影響は特性劣化の可能性はあるが大きく特性を悪化させる可能性は低いと思われます。
そもそもHackRF Oneの受信感度が低い?
非常に気になる記事を見つけてしまいました。
その記事には、HackRF OneはRTL-SDRやSDRDPlayよりも低周波における受信感度が悪いというものです。
記事にあったのはShortwaveで、これは3~30MHzの周波数の電波になりますが、今聞こうとしているFMは76~95MHzなので、そんなに離れてはいなく、HackRF Oneのカバーする周波数帯が、1MHz~GHzとなっているのでFM帯域も低周波と同じような特性と見るべきかなと思います。
問題の受信感度ですが、記事にあったデータがコレ。
HackRF Oneの受信感度はRTL-SDRよりも数十dB劣っているように思えます。
この結果を見ると今回、僕のHackRF One Portapackで起きたことも理解できるように思えます。
信号が無いわけではなく信号レベルが極端に低い、アンテナを代えると信号レベルが少し高くなった、という事実。
悲しいことですが、どうやらこれが原因のようです。
主犯は、HackRF Oneの低周波における受信感度が低いことで、
併せて、使用する部品のバラツキによりその感度が多少上下し、
更に、使用するアンテナによってその感度が上下し、
最悪の場合には、FM帯域も音声が再現できないまでに信号レベルが低くなる。
上の記事の中には、HackRF OneはRTL-SDRのようなレシーバーではなくエンジニアが研究室でプロトタイプを作るときに使用するツールのようなものと考えるべきとありました。
そう考えるとスペクトルアナライザ―としては携帯電話の周波数帯やADS-Bとかチャンと受信できているのでHackRF Oneそのものに問題があるとは言い切れなく、こういうものとして使う必要があります。
結論
HackRF OneでFMを聞くためには低周波における受信感度を改善する必要があり、
外付けLNAの追加やアンテナの交換を行う必要がある。
外付けLNAの候補はコレですね。
また、アンテナの候補はコレですね。
小遣いの状況を見ながら検討していきたいと思います。
今日はここまで。
では、また。