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エッジコンピューティングが日本を救う!

いつまで米中の後塵を拝していないといけないのか。

昨年は、トランプ大統領の政策により米中経済戦争が激しくなってきました。 色々な意見があると思いますが、僕はトランプ大統領の意見が大変よく理解できます。 というのも僕自身、なぜ日本がアメリカや中国に経済的に大きく依存しないといけないのか頭では理解できても、その対等でない関係には疑問を感じてきたからです。 これは何としてでも解消していきたいですよね。 アメリカは経済面で日本に負け、その原因を徹底的に分析し対策を地道に進めてきた結果、今は再度世界経済のリーダーに返り咲きました。 中国は、アメリカも欧州も日本も色々な思惑を持つ中で各国の支援を手に入れ、更に中国政府の保護政策で急速に経済面でも台頭してきました。 その2台大国である米中は両者ともIoT、AIが今後の国益に多大な影響を与えるということで国を挙げて強化に取り組み、更に相手方への抑止にも注力しています。 こういうなかで日本はのほほんとしていて良いのでしょうか。 先の記事でも書きましたが、IoTは日本発の技術です。 このことには明確な理由があり、そこには明確な日本の強みが隠されています。 僕は、それがエッジコンピューティングだと確信しています。 今回は、このことについて書いていきます。

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 エッジコンピューティングってなに?

 エッジコンピューティングを考える前にコンピュータ(コンピューティング?)の歴史を見てみましょう。 コンピュータの歴史は集中と分散の歴史です。 僕が会社に入った1980年代まではメインフレームの時代で集中の時代でした。 アメリカのIBMがトップで日本では日立や富士通が互換機を出していました。 1980年代になるとUNIX/PCサーバがメインフレームに置き換わり分散の時代に移行しました。 そして時が進み2000年代後半からは世界中のサーバがクラウドに駆逐される集中の時代になり現在に至っています。 では、これからどうなるか? 答えは、また分散に移行する、です。
これから本格的に始まるIoTの世界では、処理すべきデータ量が膨大になりいくら5Gが普及したとしても処理が追い付かないからです。 強くすべきはネットワークのエッジ(端っこ)にあるコンピュータの能力です。 そうです、日本が得意としている領域です。

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エッジコンピューティングは機器制御そのもの

僕は1981年に会社に入り、色々な装置の制御系を開発する仕事をしてきました。 マイコン基盤、そこで動くソフト、機器を駆動するための制御盤、それをクレーンや自走車に載せて思うような形で動かす、とても楽しかったですね。 機器制御の領域で僕が最も凄いと思う会社はファナックですね。 ファナックは工作機械メーカですが、自社の製品を自社のロボットを使って生産しています。 これは本当に驚くべきことです。  ファナックの例は、フィールドシステムのお話になるのでちょっとお話としては大きいかもしれませんが、この大きなお話を作るためには大変多くの要素が必要である、その要素全てが日本にはある、ということが僕が思う日本の強みです。 その要素とは、センサ(材料、材料の焼成、加工他)、アクチュエータ、マイコン(プリント基板、MPU、LSI、専用IC、コンデンサ、抵抗他)、PLC(俗にいうシーケンサ)等々。 日本の工作機械、産業機器はエッジの領域を開拓し、そこで苦労を重ねて注文を獲得してきました。 我々の先輩、我々、我々の後輩、と、何十年にもわたってノウハウを蓄積してきました。 その一部が単価が安いという理由で日本が自ら中国に移転したようなものもありますが、何十年にもわたって蓄積したノウハウは簡単には移転できていませんし、多分、これからも移転することはないし、彼らが獲得できるとは思えないところがます。 えっなぜ? 中国でも長くやっていけばノウハウを獲得できるでしょ、と思われるかも知れません。 また、今の時代のほうが情報も豊富だし求める答えを手に入れるのは簡単でしょ、となるかも知れません。 でもね、何となく違うんですよね。 僕が会社に入った時に先輩から聞いた言葉があります。 デジタル1年、アナログ3年、高周波10年。 これはデジタル回路なら1年で設計できる、アナログ回路は3年で設計できる、が、高周波を取り扱う回路は10年経験を積まないと設計できない、と。 最初は、ふ~ん、と思って聞いていましたが、今になって思い返してみるとそのとおりでしたね。 今は当時より環境は厳しいと思います。 今は色々なものがデジタル化されていますが、デジタル化するときにアナログや高周波の経験なく今の若者は取り組まざるをくなっています。 データ処理のような領域ならまだ良いのですが、機器制御となるとちょっと違ってきます。 今から本格的に始まるIoTの領域は機器制御そのものです。 例えば自動運転。 これは大変です。 一昔前でも高級車には80個ものMPU(マイコンと理解してOKです)が搭載されていました。 これを銅線で繋いでいたのですから車重も重かったわけです。 今はMPUの数もその間を伝送するデータ量も大幅に増えていると思います。 余談ですが、日本人の生真面目さは機器制御に向いていると思います。 でも、現実の問題として日本は自分の良さを発揮できずに米中の後塵を拝しているという現実があります。 それはどうしてなのでしょうか。

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  参考資料:ファナック フィールドシステム  

良くも悪くも大企業が経済をけん引してきた。

製造業付加価値額で見ると大企業の合計と中小企業の合計はほぼ同じ額であり、大企業が経済をけん引してきたと書くと誤解を受けそうですが、日本社会の方向性に影響を与えてきたのは大企業と思います。 1980年代前後ならまだしも今のようにスピードが早い時代に昔ながらの思考形態をもっている大企業では対応が難しいかもしれませんね。 だからトヨタの社長も焦っているのでしょうね。 僕自身、大手電機メーカに所属していたので良く判りますが、新しいことを行う上で、特に、今後、イノベーションを起こしていこう、ということに対しては、大企業には幾つかの改善すべき問題があります。 それは、
1)既存の事業を守る意識が強く優秀な人間を新しいことに向けない。
  これは理解はできるんですが、これを続けることで優秀な人間が秀才的になり
  保守的になっていくんですよね。
2)新しいことを自社内で開発せずに外注先に頼んでいる。
  これが一番の問題ですね。 誤解を恐れずに言うと技術は大企業にはなく
  付き合っている中小企業に蓄積されて行きます。
3)黒字の時に投資して赤字の時は投資を抑制する。
  ずっとこれに悩まされました。 黒字の時は注文対応で忙しいので新しいことには
  手が出ず、赤字の時は比較的時間があるが新しいことを行うお金がない。
4)新しいことを始める時期が早すぎて(?)、市場が立ち上がる前に諦めてしまう。
  これも何度も経験しました。 今は画像処理は普通の技術ですが、僕は入社した
  1981年に上長から勧められて始めました。 技術的な未熟さと市場を開くことが
  できず数件の納入で終わってしまいました。
5)既存の事業も新規事業も同じプラットフォーム(手続き、進捗管理、モノ作り、
  現地対応、人事評価 等々)で対応してしまう。
これらの問題への対応が、まさに日本でイノベーション型事業を立ち上げていくうえで必要になると思います。 折角、エッジコンピューティングという日本が世界に誇れる領域があるのですから、これをイノベーション型事業に結び付けていかない手はありません。 そうしないと日本はいつまで経っても米中の後塵を拝することになります。 今回は、ここまでにして次の機会に、この続きである、如何にして日本でイノベーション型事業を立ち上げるかについて考えていきたいと思います。

(追記)

僕が会社に入った時の先輩たちは本当にアグレッシブな人が多かったなと記憶しています。 日本発、世界初、みたいなものを平気で創ろうとしていました。 大手電機メーカの主流でない事業で、専業メーカとの競争の中で普通にやっていたら価格で対抗できないという、ある意味でのハンディを、変なモノ、を創ることで乗り越えようとしていました。 僕は若いころ、この環境で徹底的に訓練されましたが、本当に良かったと思っています。 事業的な成功はできなかったですが、世の中に1台、2台しかないものですが、一生懸命に考え、顧客の課題を解決していく、ということを学んだような気がします。 今から考えれば???というようなことも1か月もそればかりやって答えを見つける、なんてこともやっていました。 今も覚えているのは、ルート計算(1/2乗)を8ビットマイコンのアセンブラ言語でどうやって正確な計算を行うか、なんてのもやっていましたね。 テーブルにある程度数値を覚えさせればいいじゃん、なんて声もありますが、美的センスがそれを許さなかったりして1か月、そればかり考えていました。 長閑な時代といえばそうですが、そうやってエンジニアを訓練してくれた時代だと思います。 

(参考図書) 

 

 

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