終身雇用制の終焉? ある日、目が覚めたらチームリーダーになっていた。
お口直し第3弾
この記事は本邦初公開。 日本を強くしたいシリーズの記事です。 ぜひ、読後のご意見をお聞きいたしたく。 それではどうぞ。
終身雇用制の終焉? ある日、目が覚めたらチームリーダーになっていた。
トヨタ、お前もか
びっくりしました。数日前のニュースでトヨタの社長が終身雇用制を続けることが難しいとの話をしていました。終身雇用制は企業と従業員が長期雇用契約を結ぶことで安心のもとで長期的な取り組みができる良い制度として長く日本では使われてきました。
確かに今の日本は、失われた20年でのダメージを少しは回復できているものの、アメリカ、中国やこれから成長してくる国々との戦いを凌いでいけるかというと甚だ心もとない面はありますね。あとたった6年で恐怖の2025年問題もやってきますし。
終身雇用制度が終焉する前に私たちは何を準備しておく必要があるのでしょうか。各世代で影響や準備しておくことが違いますが、今回は、これからの時代を背負っていく30代に焦点をあててみたいと思います。
終身雇用制の終わりはOJTの終わり?
終身雇用制の良い点は長期継続的な雇用システムと年功序列での給与システムによってOJTを通じて若年層の訓練を行ってきたことと思っています。
ところが失われた20年の最中に起きた、採用の不安定化と急激なIT化の流れの中でOJTの仕組みも影響を受けてきました。40代後半、50代が教えるべき対象である若者が減ったこと、若者のほうがITに慣れており40代50代が若者に技術を教えにくい雰囲気が出てきました。
実は今の20代30代はOJTを受けていない可能性があります。彼らはITツールを使いこなすことで例えば実務である設計行為も情報伝達も40代や50代よりも、自分のほうができる、と思い込んでいるふしがあります。私は60過ぎですが確かに20代30代の若者に比べるとITツールの使い方は下手です。
その結果、40代50代による若者へのOJTは進まなくなったと思っています。終身雇用制が終わるという意味は、能力に応じた雇用であり雇用の流動性が激しくなるわけで、OJTは進まないどころかOJTを行う責任を誰も負わなくなります。
私はOJT、言い換えれば徒弟システムは日本が昔から続けてきた技術伝承・積み重ねのための良いシステムなので今後も継続すべきと思っています。ところが徒弟システムを将来に繋げていくべき20代30代には、その経験がありませんので、まずは彼らに徒弟システムとは何かということで実際の徒弟システムでの業務を行う必要があります。
徒弟システムで何を学ぶの?
製造業は、価値あるものを創って、形として作って、売る、という行為を行っています。今は技術も高度化し創るところも作るところも細分化され技術や組織の細分化とともに一人の人間が担当する仕事の範囲を狭くし仕事の質の向上と効率化を要求されています。
細分化の弊害としてよく言われることが、全体が判らなくなる、ということですね。全体が判らなくなるということは、センスの良いエンジニアにはなれないということになります。
徒弟システムは、師匠である先輩の行動すべてをくまなく観察することで、このセンスを身につけていくことと私は思っています。良いセンスを持っているエンジニアは、創って作って売る、ことができます。
シニア世代が次代を担う30代を救う
50代中盤のシニア世代は、その昔、健全な徒弟システムで徹底的に鍛えられており、今の若者が持っていない問題解決能力/センスを身につけています。ただし徒弟システムは膨大な時間を使ってセンスを身につける仕組みです。それをそのまま適用はできません。大丈夫、シニア世代が現代風の徒弟システムを創ります。
30代の皆さん、シニア社員をリスペクトすることから始めませんか。そうすれば明るい未来が開けます。騙されたと思って始めてみませんか?