変わりモノがいい!

変わりモノには価値がある・・・ハズ?

「イノベーション型新規事業」から見える製造業の未来

お口直しに、こういう話題は如何?

ここしばらくアメリカで買った楽しいものの記事を書いてきたので、たまには真面目な話も書かないといけないなと思い、以下の記事を載せます。 これは昨年、あるメールマガジンに載せてもらったもので、できれば少しでも多くの人に読んでもらいたいなと思い、新たに掲載を行うものです。 ご一読の上、感想などを頂けると有難いです。
それでは、どうぞ。

 

イノベーション型新規事業」から見える製造業の未来

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顧客が、市場が変化している。

私が長年身を置いてきた半導体業界では微細化の終焉を迎える中で、顧客であるデバイスメーカと装置メーカの役割に変化の兆しが見え始めています。

ムーアの法則が維持されていた時代は、顧客は装置本体の性能改善を強く要求し、私たち装置メーカは顧客の要求に応えるために装置の性能改善を継続的に行い、顧客は成果物である新型の装置や新機能をデバイスの世代が変わるごとに買ってくれていました。

ところがムーアの法則の維持が難しくなってきた数年前から要求内容が変わってきました。あれだけ強く要求していた性能改善に全く関心を示さなくなり、本来ならば顧客の業務であるはずの日々の装置の安定運用に対する改善提案を求めてくるようになりました。
まさしく、モノからコトへ、コトを創れと要求されています。

モノ作りを基本としてきた日本の製造業においても、モノからコトへということでサービス事業に力を入れるケースが多くみられます。しかし、コト=サービス=納めた装置への機能追加などによる改善・改良と考えている会社が多いのではないでしょうか。

今、私たちが取り組むべきことは、この業界の将来の姿はこういう世界になるはずだ、その世界でどんな製品・サービス(モノ)を提供すれば顧客にどんな経験(コト)=価値を提供できるかということを考え実現することではないでしょうか。そうです、新しい明日の要求を創り出し顧客を満足させるコト創り型のイノベーション新規事業を立ち上げることと思います。

コト創りとは何か

事例として、2つのお話をしたいと思います。

一つはコンシューマ向けの事例で、PCやスマホとそれを活用した新しい事業の関係です。

昔は、新しい機種が出るたびに使っているチップの速さやメモリ容量の大きさ、画面の大きさが注目を集め多くの人が買い替えに走っていました。でも今は普通に使う上では十分な性能になり買いかえなくなりました。スマホの収益に大きく依存しているSamsungにとっては死活問題ですね。

ところがUberスマホというプラットフォームを活用して、いつでもどこでも安く簡単に移動できる、という過去にない便利なサービスの提供を始め、時価総額11兆円の事業を創り出しました。まさにイノベーションです。

もう一つはBtoBの事例で、航空機エンジンメーカであるGEのビジネスモデルに関するものです。

GEの話を出すと、多くの人は航空機エンジンメーカでトップシェアを獲得しているGEは高性能なエンジンを売って儲けていると思うでしょうね。

実はGEは航空機メーカにエンジンを売っているのではなく、エンジンを使った時間やエンジンを効率的にメンテナンスすることで得られる航空機の安定運航を航空会社に売るというビジネスモデルに変えています。このビジネスモデルをLCCのような自社で設備を持てない航空会社に提供することから始め今では多くの航空会社に展開できるまでになりました。GEは自分が保有するエンジンというプラットフォームを活用した新しい価値を顧客に提供したことになります。

自社の製品・プラットフォームを活用した新しい価値を提供できるかどうかが問われています。そのためには、顧客の業務フローを徹底的に分析し、ありたい姿・フローを描く。まずは、このことに集中する必要があると思っています。そうやって将来の姿を思い描くことができれば行うべきことは必然的に明確になると信じています。

コト創りは常識を疑うことから開始

ムーアの法則が終わりを迎え、顧客が装置の安定運用に対する改善提案を求めてくるようになったとお話ししましたが、顧客は具体的な要求内容を話してくれるわけではありません。待っていても顧客は何もしてくれないのです。コト創り提案(装置の安定運用提案)をするためには、装置の稼働データや顧客の生産内部データなど、従来は決して教えてくれないと思い込んでいた顧客機密情報を、出来ると意識を変えて取りにいく行動が必要となります。つまり、意識の変革(これまでの常識を疑い、仕事の前提条件を全て一旦白紙に戻して見直すこと)と、変化を恐れない行動(新しい前提条件に基づいた従来やってこなかった行動)が必要となります。

皆さんの会社に、何人これまでの常識を疑い、仕事の前提条件を変えていこうとしている社員がいますか?また、変化を恐れず新しい前提条件で行動しようとしている社員が何人いますか?まずは、そのような行動が出来る社員を見出し、育て、支えることから始めてみては如何でしょうか。

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