変わりモノがいい!

変わりモノには価値がある・・・ハズ?

IoTって日本発だってこと知ってました?

国の特質ってあるよね。

会社勤めの最後の2年間をアメリカで過ごし、その後の個人事業主としての活動を通じて思うことは国の特質ってあるな、ということです。 確かに同じ日本と言っても産業や会社によって性格は違います。 でも、例えば製造業というような縛りをかけると結構似たところがあるように思えます。 それは会社の規模に拠るものではなく、日本人の特質に依存しているようにも思えます。 日本人の特質は何かと考えた場合、一番に挙げられるのが真面目さだと思います。 日本人の責任感の強さは世界一品と思います。 次がガマン強さだと思います。 目の前に壁が出てきても一生懸命努力して乗り越える、乗り越えた先にまた壁があればさらに努力して乗り越える、こういうことを会社の先輩から徹底的に教え込まれてきたと思います。 この特質により、戦後の苦境の中から立ち上がってきたのだと思います。 でも時代は移り変わり日本人にも変化が出てきたと思います。 日本は狭くかつ周りを海に面した国なので他の国との係わりが少ないという良い面悪い面を持っています。 良い面は争いが少なかったこと、悪い面は外交(というか世界を相手に国益を守ること)が苦手なこと。 世界がグローバル化していく中で、この悪い面が顕著になってきたと思います。 グローバル化という魔物に日本は蝕まれてきたと思います。 会社をリタイヤして日本を見渡した時、今のままではグローバル化が生み出す世界のスピードについていけないのではないかなと感じることが多々あり、どうやったら日本を再び強くできるんだろうかと考えてきました。 そうした時に昔買った本を見直してみました。 ありました、IoTの世界です。(書籍名:IoTとはなにか) 著者はあの坂村教授です。

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坂村教授は元東大の教授(現在は、東洋大学情報連携学部学部長)でTRONの生みの親です。 TRONはその斬新さゆえマイクロソフトのビルゲイツが恐れをなしアメリカの国益をかけて潰しにきたと記憶しており、表舞台から姿を消して長い時間が経っていたのでてっきり中断したものと思い込んでいましたが、違っていました。 一般庶民の目には付きにくいですが生き残り進化していました。(はやぶさやH2AロケットにもTRONは使われていました) DRAMとTRONは形態は違いますが両者ともに日本の強さと弱さを我々に痛感させてくれたと思います。 誤解を恐れずに書くと、DRAMが負けた理由は日米半導体摩擦に端を発してはいますが、自分の強さを過信して(書きすぎご容赦)弱者になんでも与えすぎたことと、窮地に陥ってきたときに宝である社員を守らなかったので知恵が流れ出し更に窮地が広がり最終的には挽回不能になった、と思っています。 日本の大手電機メーカの失敗の原因がそこにあったと思います。 TRONは違います。 TRONは、その価値を理解できる人間が当時は少なかったのではないかと思います。 そういう意味ではフラッシュメモリに似ています。 TRONの価値が判っていたら、もしTRONを国をあげて伸ばしていっていたら今の世界とは違う世界が広がっていたはずです。 今回は、日本を再び輝かせることができる可能性を秘めたIoT、TRONについて書いていきます。

 f:id:ken2017:20200327145718p:plain  ITRONプロジェクトのマーク

簡単にTRONの紹介をします。

TRONを知っているのは、1980年代の若いエンジニアでかつ電気電子系でないと知っている人は少ないのではないかと思います。 電子系エンジニアであった僕からすればTRONが出た時に衝撃を受けました。 日本がアメリカに勝つ、と思いました。 TRONは1984年にプロジェクトが開始され論文発表されたのは1987年です。 リーダーは坂村教授です。 まぶしかったです。 TRONとは、The Real-time Operating system Nucleusで組込み用途向けのリアルタイムオペレーティングシステムです。 組込み用途向けと書きましたが、正確には組込み用途向けはITRONで、ビジネス用途向け、当時はパソコン向けがBTRONでした。 僕は1980年代にパソコンのプログラムやマイコンのハードとその上で動くプログラムを開発していましたが、当時は組込みシステム用のちゃんとしたOSがなく自分でOSっぽいものを作って使っていました。 そういう時代に出てきたのがTRONで、どこでもコンピュータ環境、ユビキタス コンピューティング、ユビキタス ネットワーキングという言葉がそのアーキテクチャーの先進性を物語っていました。 メモリなんて数Kバイトの時代です。 出張に行くときにFAXを受けれる宿が少ない時代です。 そして何とTRONはオープンアーキテクチャーでした。 オープンアーキテクチャーといえばLinuxが有名ですが、Linuxは1990年代初頭に出てきたのでTRONのほうが早かったということになります。 こういう先進的なOSがなんと日本から生まれた、それはそれは驚き以外のモノではありませんでした。 アメリカもビックリしたと思います。 TRONの不幸は1989年の日米貿易交渉でアメリカ側からBTRONが非関税障壁の一つに取り上げられたことです。 マイクロソフトがTRON潰しにかかった、と思ったものです。(ところが今回、記事を書くために調べてみるとTRONを潰したのはマイクロソフトではなかったようです。 具体的なことは書けないので皆さん調べてみてください。 すぐに判ります。 判ったとたんに僕と同じ感情を抱くと思います。 許せない。 NでなくAでない会社の責任者です。 ) 

TRONの目指した世界とは、

皆さん驚きませんか、あの時代にこういうものを提案できている。 TRONが提唱している世界は、まさにIoTの世界であり、ドイツがいう所のインダストリアル4.0であり、アメリカがいう所のインダストリアル・インターネットの世界です。 でも残念なことに日本はIoTの世界で後れをとっています。 IoTは、ハード、ソフト、ネットワークの複合体で日本には、その全てがあります。 トヨタのカンバンシステムもIoTであり、中小企業のネットワーク(分業体制)もIoTです。 そういう意味では概念的なものも日本にはあります。 よく言われる話ですが、なぜAppleはiPhoneを作れたのに日本は作れなかったか、技術はあるのに作れなかった理由は何か? それは先の記事にも一部書きましたが、日本における選択肢の少なさ、狭さの問題です。 日本では、やって良いことを定義しています。 アメリカではやってはいけないことを定義しています。 この違いで選択肢の広がりは全く異なってきます。 これが産業だけでなく教育や国防や色々な領域にしみわたっているために、日本人はやって良いことしかやらない国民になってきました。 本記事の上の部分に国の特質ってあるよね、と書いた理由です。 明治時代は違っていたのではないかと思いますが、戦後変化したのかなと推定しています。 日本は島国で面積が狭い国ですが、今は思考範囲まで狭い国になってしまっているように思います。 このような国やそこで暮らす国民の特質から、今までの日本で行われてきたIoTは非常にクローズドなIoTでした。 家電がネットワークでつながるが同じメーカのものでないと繋がらない。 コマツは世界中で稼働するコマツ製の大型トラックの稼働状況を把握でき効率的な運行をできるがその対象はあくまでも自社製トラックである、等々。 ちょっと待ってよ、そんなこと言っても他社製品を対象にするのは無理があるでしょ、という声も聞こえてきそうです。 でも、ドイツが言っているインダストリー4.0は同一メーカという縛りは設けていないのでオープンなIoTです。 ただし、製造業という縛りを設けているので、その意味ではクローズドなIoTではありますが。 TRONが目指した世界はオープンなIoTによって実現される、どこでもコンピューティング、どこでもネットワーキングな世界です。

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IoTに出遅れた日本はこれからどうすれば良いの?

正直なところどうしましょう。 課題がひとつやふたつなら何とかなりますが、手に負えないぐらいの数の課題があります。 日本の大きな問題の中には、やって良いことしかやらないという修正に時間がかかる大問題もありますが、個人的には、日本における理科離れなんて最大の問題だと思っています。 日本が世界で伍していくべき領域は科学分野以外にありませんし、あり得ません。 日本が世界の金融をコントロールする姿なんて想像さえできません。 日本はもっと自分の良いところに目を向けるべきで、グローバル化という魔物に胡麻化され自分の良さを見失ってしまい失いかけている自分の良さに再度気づくことが一番大切かな、これが復活への第一歩かな、と思います。 本記事の最初のところに書いたTRONを潰したのもグローバル化で金儲けに目がくらんだ日本国籍の男です。 日本にある良いものは、個々で見ればどこかの国にもある可能性はあります。 でも、それが全てある国は日本以外にはありません。 日本の強みは正にその点だと思っています。 過去、日本は、その良い部分をグローバル化の名のもとにどんどん海外に出してしまいました。 結果、国の中にそういう大切なものがなくなってきて理科離れも加速してきました。 でも、今ならまだ復活は可能です。 もう一度、国内で日本のハード、ソフト、ネットワーキング、概念、を結集し、オープンなIoTを作っていけば世界の競合に対抗できると思います。 そうです、チームです。 ラグビーではないですが、チーム力の勝負なのです。 長くなったので、一旦はこれでくくりますが、このお題に関しては引き続き考えていきますので、別の機会に記事を書いていきたいと思います。 それにしても難しいですね。 でもね、先輩たちから受け継いだものは、後輩たちに繋いでいかないといけないので我々の仕事なんです。 では。

 

(参考HP)

www.tron.org

(参考書籍)

   
 

 

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