日本政府の行った武漢ウイルス対応は失敗だったのか?
本当に失敗だったの?
安倍政権が行った武漢ウイルス対応をメディアも野党もこぞって非難していますが本当に失敗だったのでしょうか?
どうかな?と思うことも色々ありましたが、今まで嫌というほど見てきた日本人特有の失敗とはちょっと違うようにも思えます。
日本人特有の失敗は、下の本に第二次世界大戦の日本軍を例に明確な形で示されています。
2011年3月の東日本大震災の時の菅政権、菅直人総理大臣の行動が正にこの本にでている日本軍の失敗とそっくりだったことを覚えています。
彼らはこの本のことを知らないのかと思ってしまいました。
失敗の本質に示されていることは、日本人が繰り返し犯してしまう失敗について書いているので仕方がないといえば仕方ないことではありますが。
この本のことを知っていれば福島原発の被害はもっと少なくて済んだのではないかと思うと情けなくなる限りです。
失敗の本質が示していることってなに?
失敗の本質で示されていることは、幾つかありますが、一言でいうと、
日本軍は、組織的な問題を持っていた。
戦いの目的が不明瞭で各作戦において行き当たりばったりの戦闘をした。
ということに尽きると思います。
こうなってしまった背景としては、
1)異端・偶然を排除した結果、組織や作戦が硬直した。
このことは有名ですね。 参謀組織の硬直化が代表例で、今でいえば官僚機構に
なりますね。
参謀だけでなく、山本五十六も異端や偶然を嫌って自分の意見と違う意見の人間
とは会話しなかったようです。
今の時代にもこの手の人間は沢山いそうですね。
2)環境の変化に対応できなかった。
日本軍は過去の成功事例を引きずって、白兵銃剣主義、艦隊決戦主義を過信し、
この戦法が重要ではないことが判ってもこれを変えようとはしなかったようです。
かたや米軍は新しい戦法を生み出し、試行錯誤を繰り返しました。
これでは勝てませんね。
20世紀の電気の時代が日本の時代でしたが、21世紀になって勝てなくなった日本の
姿がだぶって見えてしまいます。
3)成功体験にとらわれてイノベーションを生み出せなかった。
上のことと重なりますが、日本軍は日露戦争での勝利を大切にしており、その
戦法に拘っていました。 この戦法での勝利のための模範解答が用意されており
この模範解答に至るための訓練は徹底的に行ってきましたが、模範解答以外の
ことは準備されていませんでした。
過剰適応ですね。
これは今の日本社会の中にも根強く存在します。
日本企業が勝てない、世界に適用できない原因がここにあると思います。
余談ですが、受験勉強なんて最たるものかな、とも思います。 偏見ですかね。
4)自己否定できない学習スタイルだった。
成功体験を引きずらないでイノベーションを起こしていくためには自己否定が
必要になります。
日本軍の学習スタイルは、シングルループという目標・問題構造が変わらない
ということが前提のものでした。
ところが米軍の学習スタイルは、ダブルループで、目的や問題そのものが変化する
ことを前提にしたものでした。
結果として日本軍は環境の変化に対応できず、米軍は環境変化に対応できました。
これも残念ながら未だに日本企業になかで観られる光景の一つと思います。
5)極めつけが現場を知らない指揮官が指示を出していたこと。
上官が絶対だった日本的組織は、上官が現場を知らないにも係わらず、盲目的に
上からの指示を信じるのみでした。 信じるというか従った、ということですね。
東日本大震災の菅首相の顔が目に浮かびます。
6)統合的価値の共有ができていなかった。
どうも日本軍は、戦争の目的を軍全体の共通の価値として認識できていなかった
ようです。 そのため、空気、に左右された判断や権威に左右される判断が沢山
行われたようです。
つくづく日本人って空気が好きなんだなと思いますね。
今回の安倍政権の対応はどうだったか見てみましょう。
政府による武漢ウイルス対応が始まった当初、僕は、今回も今までと同じように失敗の本質にある失敗を繰り返してしまうのか、と感じました。
ダイヤモンドプリンセス号への対応を見ているとマスコミの報道の仕方にも影響されためか強く感じました。
しかし時間が経つにつれ、今回はちょっと違うかも、と思い始めました。
いまだに失敗だ失敗だとマスコミや野党は騒いでいます。
でも失敗といえるものは実は明確には起きていなかったと思います。
そもそも今回の件で失敗の定義はなにでしょうか。
戦争でいえば戦いに負けることですが、今回の件では、
1)感染が広がり国内でパンデミックが発生する。
2)経済的なダメージで武漢ウイルスの死者以上に自殺者がでる。
というようなことと思います。
これを阻止するために政府も国民も活動してきたと思います。
上に示した定義は直接的な失敗の定義ですが、間接的な定義として、硬直化した組織で環境の変化に対応できない、ということも失敗の定義に加えてよいと思います。
この点に関しては、確かに初期対応のころはその傾向が見られたように思います。
でも、ある時期から、対応に不適切な面がでても何らかの形で修正したり、本質的なところでの不適切な事象は発生しなかったり、と、試行錯誤しながらも致命的なミスをしないでしのいできていると思います。
その意味で、安倍政権が失敗した、とは言えないと思っています。
安倍政権が失敗したように見せかけているのは、今までの日本のシステムにその原因があります。
今回の件で多くの国民にもその問題点が明確に見えたと思います。
代表的な問題としては次の3つがあります。
国の権力が弱すぎて国民に強制できない。
感染していても隔離さえできませんでした。
ポジティブリストなので状況変化への対応が遅れる。
通常、軍隊はネガティブリスト(やってはいけないことを決める)ですが、
日本ではポジティブリスト(やっても良いことを決める)です。
今回もこれが適用され、結果、対応に遅れがでました。
自衛隊をポジティブリストで縛っている野党は今回の件で考え直すべきです。
行政システムが昭和の時代から変わっていない。
日本が嫌いな人間も日本に住んでいるためか、国民のデータがシステム化されて
保管されれていない、要は紙であって電子化されていない。
これが特別給付金の支給が遅れている原因である。
野党が反対しなければマイナンバーカードシステムが活躍したはずだが、普及して
いないのでオンライン申請しても紙に印刷してチェックしていると。
考えられないことですね。
上の3つが改善できれば日本は劇的に変化できると思います。
この制約の中で政府は状況をコントロールしようとやってきたわけで、上に定義した失敗が起きなかったことを考えあわせ70点ではありますが合格点と思います。
そしてなにより財務省の反対を押し切って財政的な手立てを当初の計画よりも大幅に拡充したことも評価できると思います。
遅い、という批判はありますが、たかが遅いだけです。
上に定義した失敗は起きていません。
遅い原因が昭和時代のシステムにあることを認識してシステムを変えることが今必要なことです。
でも、マスコミも野党もこのことは言わないですね。
今回の件を振り返って、つくづく自民党政権、安倍政権で武漢ウイルスが発生して良かったと思います。
別の政権であったら、もっと被害が大きかったことは間違いないと思います。
然しながら、上にも書きましたが、日本特有の問題構造が未だに日本の中に残っていることは事実であり、失敗の本質、を多くの政治家や官僚が読み返して国の姿を変えてくれることを祈るばかりです。
皆さんも是非一度読んでみてください。
僕は最初に読んだ時には唖然としました。
今の会社そのものじゃないか、と。
世界で勝てる国に変化するためにも変わりましょう。
では、また。
(参考図書)